去る2月27日、4月19日、2回にわたって開催いたしましたリレーションズ+芸術祭・まちづくり研究連携プロジェクト「フォーラム01/02 能登半島地震と芸術祭の未来」には、それぞれ約100人の多くの方々にご参加いただき、誠にありがとうございました。フォーラム02の開催から約1か月が経ち、直前のご案内になってしまい、誠に誠に誠に恐縮ですが、私どもでは、明日、5月24日(金)18:30から、フォーラム03「巨大都市東京でボトムアップ型の芸術祭はいかに可能か──東京ビエンナーレの挑戦」を、下記の通り開催させていただきたいと存じます。どうか、下記の申し込みフォームでご登録いただき、ご参加下さいますようお願い申し上げます。
- 開催日時:2024年5月24日(金)18:30~20:00
- 開催方式:オンライン配信*要事前登録・申込(無料)
詳細・申し込みは、以下にアクセスしてください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSetu6PQc7QQx4W5ICd4HrlgZFx35c-nfdu_7Bacm7l7aOMVGg/viewform
東京は、人口3,600万人の世界最大の巨大都市である。日本の総人口が減少し続け、やがて全国各地で消滅する市町村が多く出ることが予想される中で、東京だけが今も膨張し続けている。人口、情報、資本、権力が集中するこの巨大都市は、しかしまったくまとまりがない。多くの東京圏の住人は、地方の人々に比べればはるかに弱い危機感しか持ってはいない。東京都には莫大な税収が入るが、その官僚機構は旧態然たるタテ割りで、牢固たる事なかれ主義は何かと批判に晒されやすい中央省庁をはるかに超える。そしてその東京では、人口一極集中をさらに加速しかねない巨大再開発が目白押しである。
そのような東京をフィールドに、クリティカルな思想と実践、そして何よりも創造行為の集合的なムーブメントである芸術祭はいかに可能か?
2020/21年に第1回が開催されて以来、東京都心北部で中村政人、小池一子をリーダーとして開催されてきた「東京ビエンナーレ」は、この難しい、しかし壮大な課題に挑戦してきた。北川フラムにより先導され、妻有や奥能登、瀬戸内をはじめとする地方で開催されてきた芸術祭は、過疎や災害から原発や産業廃棄物まで、様々な課題を抱えてきた地方の自治体と協力し、地域住民の草の根からの危機意識とアートが連携する地平を開くものだった。ところが、東京はもちろん、横浜も名古屋も、そのような意味での「地方」ではない。つまり、東京都や横浜市、愛知県などの予算による文化イベントは可能でも、それでは決定的に欠けるものがあるのである。
2020/21年の「見慣れぬ景色へ」から23年の「リンケージ」へとそのテーマを深化させてきた東京ビエンナーレは、巨大都市東京ではなく、東京のもうひとつの貌、ヴァナキュラーでハイブリッドでマージナルな都市としての東京に注目してきた。実は、東京都心には、無数の空地や空き家、空隙のようなスペースがある。古い商店は価値のある建物を残し、大型ビルでも年月を経て空きスペースが増殖する。公共の空間は相変わらず使い勝手が悪いが、それでも丁寧に理解を得ていけば、開かれた空間に変容する。東京ビエンナーレは地道な努力を重ね、巨大都市の隙間を芸術的な創造の拠点とする作業を重ねてきた。
リレーションズ+芸術祭・まちづくり研究連携プロジェクト
フォーラムの第3回となるこのオンライン・イベントでは、第2回東京ビエンナーレの総合ディレクターとしてこの東京都心のボトムアップ型の芸術祭を先導した中村政人と西原 珉の2人のキーパーソンにご登壇いただき、あえて東京という巨大都市の都心で草の根的でボトムアップ型の芸術祭を開催することの困難と可能性をふんだんに語っていただくつもりである。
ゲスト[五十音順]:
- 中村政人(東京ビエンナーレ2023 共同総合ディレクター)
- 西原 珉(東京ビエンナーレ2023 共同総合ディレクター)
パネリスト[五十音順]:
- 暮沢剛巳(東京工科大学・デザイン学部 教授)
- 河 炅珍(國學院大學・観光まちづくり学部 准教授)
- 潘 梦斐(國學院大學・観光まちづくり学部 助教)
- 光岡寿郎(東京経済大学・コミュケーション学部 教授)
- 村田麻里子(関西大学・社会学部 教授)
- 山口 誠(獨協大学・外国語学部・教授)
モデレーター[五十音順]:
- 毛利嘉孝(東京藝術大学・大学院国際芸術創造研究科 教授)
- 吉見俊哉(國學院大学・観光まちづくり学部 教授)
ゲスト・プロフィール:
- 中村政人(なかむらまさと)
東京ビエンナーレ2023総合共同ディレクター
1963年秋田県大館市生まれ。アーティスト。東京藝術大学絵画科教授・副学長。
「アート×コミュニティ×産業」の新たな繋がりを生み出すアートプロジェクトを進める社会派アーティスト。
2001年第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ、日本館に出品。マクドナルド社のCIを使ったインスタレーション作品が世界的注目を集める。
1993年「The Ginburart」(銀座) 1994年の「新宿少年アート」(歌舞伎町)でのゲリラ型ストリートアート展。
1997年からアーティストイニシアティブコマンドNを主宰。秋葉原電気街を舞台に行なわれた国際ビデオアート展「秋葉原TV」(1999〜2000)「ヒミング」(富山県氷見市)(2004〜2016年)、「ゼロダテ」(秋田県大館市)(2007〜2019年)など、地域コミュニティの新しい場をつくり出すアートプロジェクトを多数展開し、2010年民設民営の文化施設「アーツ千代田3331」を創設(2023年3月閉館)。
「東京ビエンナーレ2020/2021、2023」総合ディレクター。「千葉国際芸術祭2025」総合ディレクター。著書に「美術と教育」(1997)、写真集「明るい絶望」(2015)、「新しいページを開け!」(2017)、「アートプロジェクト文化資本論:3331から東京ビエンナーレへ」(2021)。平成22年度芸術選奨受賞。2018年日本建築学会文化賞受賞。
- 西原 珉(にしはらみん)
東京ビエンナーレ2023総合共同ディレクター
キュレ—ション、心理療法士、東京芸術大学先端芸術表現科准教授、秋田市文化創造館館長。90年代の現代美術シーンで活動後、渡米。ロサンゼルスでソーシャルワーカー兼臨床心理療法士として働く。心理療法を行うほか、シニア施設、DVシェルターなどでアートプロジェクトを実施。2018年日本に戻ってアートとレジリエンスに関わる活動を試行中。米国カリフォルニア州臨床心理療法士免許。東京ビエンナーレ2020/2021では参加作家として「トナリプロジェクト」を推進し、東京ビエンナーレ2023においても継続した活動を展開する。
※ 参加お申込は上記ページ内「参加お申込みフォーム」でお願いいたします。
芸術祭とまちづくりの未来に関心のあるみなさまの1人でも多くのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。