令和4年7月9日、日本学術会議会長談話「安倍晋三元内閣総理大臣に対する銃撃事 件について」を公表いたしましたので、以下のとおり御報告いたします。 日本学術会議会長談話 「安倍晋三元内閣総理大臣に対する銃撃事件について」 民主主義社会にとって極めて重要な選挙が行われている中、選挙活動をしている 政治家を銃撃するという前代未聞の行為は、学術の発展が拠って立つべき文明社会 に対する到底許しがたい暴挙であり、深い憤りを禁じ得ません。お亡くなりになっ た安倍晋三元内閣総理大臣のご冥福をお祈りするとともに深く哀悼の意を表し、ご 遺族の皆様に心からのお悔やみを申し上げます。 令和4年7月9日 日本学術会議会長 梶田 隆章
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第184回日本学術会議総会及び記者会見に関するご報告 (2022/4/21)
第184回日本学術会議総会及び記者会見に関するご報告 2022年4月18日及び19日、日本学術会議第184回総会を開催しま した。先般は「第26期日本学術会議会員候補者の選考方針(原案)」につきま して、ご意見をお寄せいただきありがとうございました。いただいたご意見を踏 まえ選考委員会において検討を深め、選考方針(原案)を修正して総会に諮りま したところ、以下URLのとおり決定いたしましたので、ご報告いたします。 総会ではこのほか、日本学術会議会員任命問題や、研究力強化、オープンサイ エンス、未来の学術振興構想、分科会活動に関する討議を行いました。 また、総会終了後、記者会見を行い、梶田隆章会長の挨拶(下記のとおり)の ほか、「第26期日本学術会議会員候補者の選考方針」、学術フォーラム・公開シ ンポジウム等の開催予定についてご説明いたしました。総会資料、記者会見で配 布した資料は、日本学術会議のホームページに掲載しております。 ○日本学術会議第184回総会配布資料 https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/sokai/siryo184.html ○第26期日本学術会議会員候補者の選考方針 https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/senko/index.html ○第25期記者会見資料(4月19日) https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/kisyakaiken.html ---------------------------------------------------------------------- ○記者会見冒頭の梶田隆章会長の挨拶 昨日から本日までの2日間、第184回となる総会を開催しました。総会には、 約170名の会員が学術会議講堂又はオンラインで参加しました。 審議はすべて公開で行いましたので、あらためての紹介は省略しますが、各議題 について大変活発な議論が行われたことはお伝えしたいと思います。本日は、そ の中で、特に重要な事項についてお話ししたいと思っています。 まず、会員任命問題については、これまでの経緯とともに、会員の信任のもと に選ばれた会長にとって、その解決を図ることが最大の責務であるという認識 を示し、従来繰り返し表明してきた、基本的な考え方に即した取組を継続するこ とを説明しました。 会員の皆様からは、お聞きいただいたとおり、執行部の苦労を多としつつ、こ のような任命拒否が今後の前例とならないよう問題の解決に取り組むこと、学 協会や社会の注目も大きいこと、次期の会員改選に影響が及ばないように早期 の解決を目指すこと、話し合いを通じて粘り強く交渉することが最も近道であ ることなどの御意見をいただいたところです。 また、他の議案の際ではありましたが、ISC(国際学術会議)が「科学にお ける自由と責任委員会」において重要課題として、強い関心と懸念を持っている ことが報告され、国際的なアカデミアからもこの任命拒否問題が注目されてい ることが明らかになっています。 総会で示される会員の意思こそが、会長が問題解決に向けて取り組む際の最 大の力であることから、引き続きこれまでの考え方を堅持して粘り強い取り組 みを進めることについて、総会の総意として賛同をいただくことについてご確 認いただきました。 今後は、次回以降の官房長官との面談、対話の早期の実現に向けて努力すると ともに、進捗状況については、適宜、会員・連携会員等に伝達することとし、必 要な場合には、臨時総会を召集して対応について会員の意見をお聴きするつ もりでおります。 また、今回の総会においては、「第26期日本学術会議会員候補者の選考方針」 について、昨日の会員からの御意見を踏まえて一部修正の上、総会で会長一任を 得た上で、先ほど開催した幹事会で決定いたしました。 選考方針の案の作成に当たっては、「日本学術会議のより良い役割発揮に向け て」の取組の一環として、説明責任を強化する観点から、会員のみならず、連携 会員や学協会、外部有識者にも意見を聴いて、反映してまいりました。 今後は、この選考方針に基づいて、選考要領の策定を進めるなど、第26期改 選に向けた取組を進めてまいります。 このほか、今回の総会では、連絡会議を始めとする各種活動報告、若手アカデ ミーの取り組み、外部評価、研究力強化やオープンサイエンスなどの内閣府から の審議依頼、未来の学術振興構想、分科会活動など、様々な課題について、会員 による活発な討議が行われました。 いずれも日本学術会議として積極的かつ前向きに取り組むべき項目であり、 今後の活動に反映してまいります。 学術会議としては、引き続き昨年4月に取りまとめた「日本学術会議のより良 い役割発揮に向けて」の具体的な取組を着実に進めることなどにより、求められ る役割を果たしてまいります。 なお、昨日の幹事会では、定例の案件のほか、各地区会議の代表6名の方に御 出席いただき、今年度の事業計画について御報告いただき、幹事会として承認し たので、あわせて御報告いたします。
「ロシアによるウクライナへの侵攻について」(日本学術会議会長談話) (2022/2/28)
本日(2月28日)、日本学術会議会長談話「ロシアによるウクライナへの侵攻 について」を公表いたしましたので、以下のとおり御報告いたします。 日本学術会議会長談話 「ロシアによるウクライナへの侵攻について」 このたびのロシアによるウクライナへの侵攻は、世界の平和と安全を脅かし、 国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、到底、受け入れられるものではありませ ん。このような事態が、人びとの安寧と、世界と日本における学術の発展及び学 術の国際的な連携に及ぼす影響を深く憂慮し、対話と交渉による平和的解決を強 く望みます。 令和4年2月28日 日本学術会議会長 梶田 隆章
総合科学技術・イノベーション会議「日本学術会議の在り方に関する政策討議取りまとめ」(令和4年1月21日)について(会長メッセージ)(2022/2/1)
総合科学技術・イノベーション会議「日本学術会議の在り方に関する政策討議取りまとめ」 (令和4年1月21日)について(会長メッセージ) 日本学術会議会長 梶田隆章 この度、総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員7名(以下「有識者議員」)に より、「日本学術会議の在り方に関する政策討議取りまとめ」(以下「取りまとめ」)が公表 されましたので、取りまとめの内容や今後の対応についての考え方を会員・連携会員並びに 学協会の皆様にお伝えします。 以下をお伝えする前提として、日本学術会議会長はその職責上、総合科学技術・イノベー ション会議の構成員ですが、本件議論においては日本学術会議の現状に関する資料や見解 の説明者として参加したにとどまり、取りまとめの作成には関与していないことを申し添 えます。取りまとめにおける日本学術会議の発言の取捨選択や配列は有識者議員の判断と 責任の下で行われています。(なお、政策討議の議事概要は総合科学技術・イノベーション 会議HPをご覧ください。) https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/index2021.html 取りまとめでは、令和3年4月に公表した「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」 (以下「より良い役割発揮報告」)で我々が示した見解と認識を同じくする部分と、異なる 認識が表明されている部分とがあります。それらについて、日本学術会議を代表すべき立場 にある私の見解を、あらかじめ幹事会構成員にも意見を求めた上で、以下のとおり会員及び 連携会員並びに学協会の皆様にお伝えします。 まず、昨年5月以来、政策討議の場において、日本学術会議の在り方に関して有識者議員 が多くの時間を費やして熱心な議論を行い、取りまとめを作成されたことに敬意を表しま す。 日本学術会議の在り方に関する我々の見解は、より良い役割発揮報告に示したとおりで す。我々がそこに示した、国際活動の強化、意思の表出と科学的助言機能の強化、対話を通 じた情報発信力の強化、透明性のある会員選考プロセス、事務局機能の強化という改革の方 向性に関し、取りまとめの認識も基本的に一致しています。 また、総合科学技術・イノベーション会議と日本学術会議が「車の両輪」であることが確 認されており、今後、その内容について、改めて幅広い観点から協議していくことが必要と 考えています。 加えて、取りまとめにおいて、改革を実施していくうえで「所要の事務局機能、財政基盤 等の再構築は不可欠」と述べられているとおり、会員が全員非常勤であること(これは日本 学術会議に固有の形態ではなく、各国アカデミー共通の事象です)を十分考慮し、事務局機 能・スタッフ機能の充実と財政基盤の拡充が必要とする点で、有識者議員が我々と見解を同 じくしたことを歓迎します。 他方、取りまとめの「5 結論」において、「改革のフレームや時間軸についての考え方 や具体的な進め方などについては、必ずしも一致を見ていないことが認識された」と記述さ れています。 欧米の多くのアカデミーと異なり、日本学術会議においては、会員は終身制ではなく任期 制になっていることから、執行部が責任を持って取り組むことができる期間が限定されて います。より良い役割発揮報告は、今期の執行部の任期が令和5年9月までであることを 前提に、現行の法律も踏まえ、かつ、同時に長期的な視野にも立って、任期内に実行可能な 方策を検討して取りまとめたものです。 これに対し、有識者議員は、我々が踏まえていたそのような前提ないし制約条件をいった ん外し、ある意味、理想的なアカデミーの在り方を議論することを志向したと考えられます。 このような議論の意義や進め方自体を否定するものではありませんが、より良い役割発揮 報告と今回の政策討議の「フレームや時間軸」にずれが生じたことの一因はここにありまし た。 政策討議の場で日本学術会議側から繰り返し説明したように、各国のアカデミーはそれ ぞれの国の歴史的経緯を伴った学術に関する「生態系」の構成要素であり、その在り方の特 性もそれによって規定されています。したがって、「生態系」全体を視野に入れて考察する ことなく、その構成要素の一つであるアカデミーだけを取り出して海外のそれと比較して みても、生産的な結論は生まれません。取りまとめが求める理想的なアカデミーの在り方と その実現に向けた方策の検討のためには、日本の学術全体を見据えた長期的かつ総合的な 議論の場が必要であると考えます。残念ながら今回の政策討議はそれを行える場ではあり ませんでしたが、そのような議論の場が設定されるのであれば、我々はそこに参加する用意 があることを付言します。 組織形態に関しては、同じく取りまとめ「5 結論」において、「現在の組織形態が最 適なものであるという確証は得られていない」と述べられています。しかし、今回の政策 討議では、日本学術会議の組織形態が議論された過去の会議(平成15年総合科学技術会 議、平成27年日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議)での検討をレビューする ことを中心に議論が進められ、公表されている会議資料や議事概要を見る限り、具体的な 組織形態について十分に掘り下げた議論は行われなかった模様です。 他方、より良い役割発揮報告は、日本学術会議を国の機関とする場合、国の機関以外の 設置形態とする場合の双方について、前者に関しては、現行形態に加えて立法・行政・司 法のいずれからも独立した国の機関としてのあり方の検討可能性にも言及し、後者に関し ては独立行政法人、公益法人、特殊法人という3つの類型を具体的に念頭に、各種形態の メリット・デメリットについて専門家を交えた詳細な検討を行った上で取りまとめたもの であり、政府における今後の検討においても議論のベースとなり得るものと確信していま す。 政府における今後の検討は、小林内閣府特命担当大臣(科学技術政策)の下で行われるこ ととなる見込みです。 取りまとめの公表の同日夕方に行われた小林大臣との面談では、大臣から、あらかじめ決 め打ちすることなく丁寧に検討を進め、できれば夏までには政府としての方針を示したい こと、日本学術会議とコミュニケーションをとりながら、引き続き未来志向で取り組んでい きたいことなどのお話がありました。 今後の対応においては、政府との信頼関係の構築の妨げになっている任命問題の一日も 早い解決を図った上で、より良い役割発揮報告に示した日本学術会議の考え方が反映され るよう、政府に求めてまいります。もちろん日本学術会議としても、より良い役割発揮報告 で示した改革を着実に実行してまいります。会員・連携会員並びに学協会の皆様におかれま しては、引き続きのご理解とご支援をよろしくお願いします。
第183回日本学術会議総会及び記者会見に関する御報告 (2021/12/3)
第183回日本学術会議総会及び記者会見に関する御報告 2021年12月2日及び3日、日本学術会議第183回総会を開催しました。 総会では、政府と日本学術会議の新たな関係構築に向けての要望書、日本学術会議 会則の一部を改正する規則案、の2件が承認されました。また、科学的助言機 能・「提言」等の在り方の見直しや、会員選考プロセスの見直しに関する議論、 総合的・中長期的課題に関する討議を行いました。 総会終了後、記者会見を行い、梶田隆章会長の挨拶(下記のとおり)のほか、 「政府と日本学術会議の新たな関係構築に向けての要望書」、学術フォーラム・ 公開シンポジウム等の開催予定などについて御説明いたしました。総会資料、記 者会見で配布した資料は、日本学術会議のホームページに掲載しております。 ○日本学術会議第183回総会配布資料 https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/sokai/siryo183.html ○第25期記者会見資料(12月3日) https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/kisyakaiken.html ---------------------------------------------------------------------- ○記者会見冒頭の梶田隆章会長の挨拶 昨日から本日までの2日間、第183回となる総会を開催しました。秋の総会 は10月に行うのが通例ですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響でこ の時期の開催となりました。総会には、最大168名、常時おおむね160名程 度の会員が学術会議講堂又はオンラインで参加しました。 審議はすべて公開で行いましたので、あらためての紹介は省略しますが、各議 題について大変活発な議論が行われました。総会初日の冒頭、小林大臣に学術会 議講堂にてご挨拶をいただけたことも大変よかったと思います。 今回の総会においては、政府と日本学術会議の新たな関係構築に向けての要 望書、日本学術会議会則の一部を改正する規則案、の2件の提案について承認を いただきました。 要望書は、会員任命問題に関する昨日の会員からの提案を踏まえて用意した もので、これまでの経緯や現状に対する危機感について述べるとともに、岸田総 理との早期の面談を実現し、会員任命問題を含む様々な課題について率直な意 見交換の機会とすることを、総会の総意として強く要望することを表明するこ ととしたものです。 会則の一部を改正する規則案は、学術会議が行う意思の表出(科学的助言)に ついて、 ・「提言」の発出主体を委員会・分科会から学術会議に変更するとともに、総合 的・俯瞰的な見地から、政府や広く社会に向けた提案を発表するものとするほ か、 ・「見解」という新たなカテゴリーを設けて、委員会・分科会を発出主体とし、 専門的な見地から、提案を発表するものや、社会的な議論を喚起するため多様 な意見を提示するものと定めることとしたものです。 あわせて、会則改正に伴う運用上の手続などについても意見交換を行いまし た。様々なご意見・ご質問がありましたが、基本的な方向・内容については会員 の理解が得られたので、総会でのご意見を踏まえて、今月末の幹事会において関 連規定を整備する予定です。 このほか、今回の総会では、会員選考プロセスの見直しや、学術会議が取り組 むべき総合的・中長期的な課題について、会員による活発な討議が行われたとこ ろであり、今後の学術会議の取組に反映してまいります。 学術会議としては、科学的助言機能の強化など、本年4月に取りまとめた「日 本学術会議のより良い役割発揮に向けて」の具体的な取組を進めるとともに、岸 田総理との率直な意見交換の機会を一日も早く持って、政府とアカデミアが建 設的な信頼関係の下、より良い社会の実現に向けて力を合わせていくことを求 めてまいります。