「肖像権ガイドライン(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)について
このたび、デジタルアーカイブ学会法制度部会(以下「法制度部会」といいま
す)では、「肖像権ガイドライン(案)」(以下「本ガイドライン」といいま
す)について、広く皆様からご意見を募集します。
- 意見募集の趣旨、目的および背景
デジタルアーカイブ機関が、デジタルアーカイブを整備してその利用を促進するにあたり、「権利の壁」として立ちはだかるものとして、著作権などと共に、いわゆる肖像権が挙げられます。肖像権は、著作権のように法律上明文化された権利ではなく、裁判例で認められた権利です。そのため、権利の対象や保護の射程などのはっきりした規定はなく、すべて解釈に委ねられています。拠りどころの1つとなる最高裁の判決は、法廷での写真撮影に関していくつかの要素を「総合考慮」して、写真撮影およびその公表により、本人の「人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超える」ものかどうかを検討して撮影・公表の適法性を判断しています。
しかしながら、大量のコンテンツを扱うデジタルアーカイブ機関の現場では、「総合考慮」という基準のみで公表の是非を判断するのは現実的ではありません。このような状況下では、本来デジタルアーカイブに保存され、活用されるべき多くのコンテンツが、肖像権の判断ができないという理由で死蔵化あるいは消滅する危機に直面していると言っても過言ではありません。
法制度部会では、これまでもデジタルアーカイブの基本法制の実現に向け活動してきましたが、これと並行して、デジタルアーカイブ機関の現場担当者が肖像権処理を行うための拠りどころとなるようなガイドラインを提案すべく、何度も検討を重ねてきました。
2019年には第1回「肖像権ガイドライン円卓会議―デジタルアーカイブの未来をつくる」を開催し、議論と意見交換の叩き台として本ガイドラインを公開しました。2020年には第2回、第3回の肖像権ガイドライン円卓会議を開催し、本ガイドラインを順次改訂してきました。さらに、デジタルアーカイブ機関等において実証実験も行い、その結果をデジタルアーカイブ学会の研究大会ワークショップで発表しました。
このガイドラインは、権利者と利用者間の合意などに基づくガイドラインとは異なり、肖像権という法的問題に向き合うための考え方のモデルをデジタルアーカイブ学会が示し、デジタルアーカイブ機関における自主的なガイドライン作りの参考・下敷きにして頂くことを目的とするものです。
法制度部会では、以上の趣旨、目的および背景をふまえ、肖像権ガイドライン(案)の改訂版(法制度部会版ver.4)を公表し、以下の要領で広く皆様からご意見を募集します。
- 意見募集対象
別紙「肖像権ガイドライン案(法制度部会版ver.4)」 - 意見募集期間(意見募集開始日及び終了日)
2021年1月8日から2021年2月7日まです。 - 意見の提出はこちらから